ぼったくりに合ってしまう
当時25歳、安月給ながらも何とか生活していた私は、ある日、会社の接待に付き合い、二軒目でキャバクラに行きました。
上司や取引先の方々とキャバクラで騒いで飲んでいたのですが、やはり末席だったわたしは、楽しむといより気を使って疲れるなあ、と感じていました。
ようやくキャバクラもお開きになってそれぞれ家路につくことになったのですが、その帰り道、一人で歩いていると、客引きに声をかけられました。
「かわいい女の子と60分3000円だよ!」
自分が楽しむこともできない時間を費やした後、しかもアルコールもはいっています。3000円程度なら…とその声につられて、お店に行くことにしました。
しかしそこは、「ぼったくり店」だったのです。
60分過ぎて会計しようとすると、3000円どころかその20倍、60万円を超える金額を請求されました。酔った頭でいろいろ反論しようと試みるも、かわいい女の子はどこかへ消えて、まさにな感じの怖い男の人が現れました。
払おうにも60万円なんて大金、当時の私は持ち合わせていません。おびえながらも何とかそれを証明して、結局、カード利用額のぎりぎり50万円を支払ってその店を後にしました。
カードのリボ払いで貧乏生活
当時はまだ若く安月給、毎月がギリギリのなかで生活していたため、カードで支払ったリボ払いの請求は、生活に大きな負担となることになります。
家賃のような固定費は、節約しようがありません。電気、ガス、水道といった公共料金は、節約するにも限界があります。
そこで節約するため、犠牲を強いたのは食費でした。
給料日前は「もやしご飯」
肉や緑色をした野菜は、極力買わないようにします。牛丼などの外食はもっての他。特に給料日前の一週間は、財布の中はさびしいことになります。
そうした時、助けてくれたのは「もやし」でした。1パック30円程度、一週間分買っても500円しません。
しかも、1パックを食べると案外にボリュームがあります。もやしを月曜はソースで炒めて火曜は醤油、水曜はケチャップ…という具合に、毎日味を変えながら、それをご飯とともに食べます。
そんなもやしとともに生活する一週間を乗り切って給料日に食べる牛丼がなんと美味しかったことか。
いまもスーパーでもやしを見ると、当時のことを思い出してもやしに感謝したい気持ちになります。